ムーたち
2008年03月30日
このごろ、「ムーたち」という漫画が自分の中でブームになっています。いろんな人にお勧めできる作品だと思うので、今日はこの作品についてレビューっぽいことを書きます。

この話は、虚山無夫(むなやまむーお)と、その父実(みのる)が主人公です。中には、片方しか出ない話もありますが、ほぼ全話で、この二人中心に描かれています。
おそらく誰しもが幼い頃に頭の中で捉えていた「世界」、歳を重ねるごとに徐々に失われていったその「世界」や「自分」、「自分の世界への関わり方」が、ここに描かれています。作者自身、他にこういうことを描いた作品は、特に哲学書などをあたればあるのかもしれないけど、あえてそれらを遮断して自らの体験や記憶、感覚のみによって描ききったらしいです。
いくつか作品中のエピソードをあげてみます。
ニュートラリング
痛みや苦痛に耐えられないと感じたとき、意識の上で無理やりその状態を「素」にしてしまうことで、痛みに耐えたりそれ以上の力を生み出したりできるよ、という話。
脳戻り
なくしたものを探すとき、闇雲に探すのではなく、記憶を辿るように脳内で時間を逆戻しする話。これは、うちの親がよく言っていたなぁ。
セカンド自分
何かに無我夢中になっているとき、その夢中の自分を冷静かつ客観的に認識するもう一人の自分を生み出す力があるんだよ、という話。
方眼室
身近で取るに足らないと思われるような事柄全てを数値化し、それを少々無理やりにだけど、外界の事象と関連付けることで、この世界の法則を理解しようとする人物の話。科学って、そんなに万能じゃないよなー、ってことも考えられる話。
五感食
「好き嫌いというものは、大人になれば勝手になくなるものなんだ。それをわざわざ体にいいからっていう理由だけで手放してしまうのは、非常にもったいない話だとは思わないか」、という話。確かに、子供の頃苦手だった、苦いものなんかが大人になって平気になるのは、人の味覚が退化するからだという話しを誰かがしていたなぁ。
こんな感じの話が、いっぱい詰まってます。僕自身の経験からいうと、例えば道を歩くときに絶対に影を踏まないように歩く(自動車が来てもうまくタイミングを合わせてタやり過ごすとか、ガードレールの幅に合わせて歩幅を調整するとか)とか、黒黄ナンバー(黄色地に黒)の車を1日に3台みると願い事がかなう(逆に緑白のナンバーを見ると、マイナスされる)とか、なんか他にもいっぱいあった気がするけど、そういった非科学的かもしれないけどある種の摂理や、決まりとかいうようなものを、とても純粋な形で提示している点が、この作品の面白いところです。(*非科学的と書いたけど、極めて科学的な部分もあるんです)
それから、この親子の関係もまた素晴らしい。実は、無夫に対して常に進撃に向かい合っている。常識からはかけ離れた教えでも、そこには何らかのロジックがあり、とても切り捨てられない何かがある。無夫は無夫で、自らの感覚に素直に向き合い、父の教えを鵜呑みにするのではなく、租借してリアクションを返す。そして、実も否定的な反応に対してさらに追い討ちをかけるようなことはしない。
こんなレビューで、読みたいと思ってくれる人がいるかは自信がないけど、いてくれたらいいなぁ。
この漫画は、絵も非常に秀逸で、この絵抜きにしては理解できないような部分もあるので、何はともあれ、読んでみてください。興味のある人は。全2巻。
講談社 (2006/12/22)

不条理漫画としておかしい
目のつけどころ過ぎ
脳内浸食系ギャグ漫画
それから、僕がこの漫画を知るきっかけになったHEADZの新しい雑誌「エクス・ポ」。16ページしかない雑誌で、オンライン販売のみ。偶然知り合いがHEADZでこの雑誌の販売を担当していることを知ったので、ついでに宣伝しときます。






comments (2)
これ、友人にすすめたら「テンションの低い『バカボン』みたい」って言われて、なるほどと思った。
post: kikuchi | 2008年03月30日 05:53
date: 2008年03月30日 05:53
確かに。
post: terada | 2008年04月13日 01:10
date: 2008年04月13日 01:10